展示内容
第1章 漫画
やなせたかしの原点
やなせは1953年にフリーの漫画家としてデビューします。初期には広告漫画や成人雑誌、新聞への連載漫画を多く手掛けていました。これらの漫画には台詞が全くありません。世界共通で笑える漫画を目指したのです。やなせが「パントマイム漫画」と呼ぶこれらの漫画は、彼の原点と言えるでしょう。
ボオ氏

『ボオ氏』©やなせたかし(公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
※「ボオ氏」の展示は、本サイトに1月16日まで掲載していた「ボオ氏(正式タイトル不詳・切り株のレコードのお話)」から「ボオ氏 ブランコの巻」に変更します。
帽子を目深にかぶり顔の見えない主人公。「ボオ氏」は、「帽子」と「某氏」をかけた名前。やなせを代表するキャラクターとして、漫画以外の作品にも描かれていく。
メイ犬BON

『メイ犬BON』「なげいれ流生け花」©やなせたかし(公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
いたずらでドジ、それでいておちゃめな犬の主人公BONの物語。やなせの愛犬がモデルとなっている。
第2章 詩とイラスト
豊かな詩情
やなせは詩人やイラストレーターとしても精力的に活動しました。誰にでもわかる、やさしい言葉でうたったやなせの詩は、多くの人の共感を呼びました。また、どこか幻想的で、抒情的な雰囲気が漂うイラストは、その作風の幅広さに驚かされます。詩とイラストなどの月刊公募誌『詩とメルヘン』は、やなせが30年間すべての表紙画を描き、編集も自身で行った雑誌です。やなせのもとに集った新たな作家たちを紹介する場でもありました。
シェエラザード

シェエラザード©やなせたかし(公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
シェエラザード姫が語るアラビアンナイトの世界を、やなせ独自の視点で描き出した作品。

創刊☆はじめて世にでる春の号『詩とメルヘン』1973 年4 月創刊号©やなせたかし(公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵

絶望のとなりに©やなせたかし(公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
第3章 絵画原画
やなせメルヘンの輝き
1965年、やなせははじめて子ども向けの絵本を描きます。絵本の2作目となる『やさしいライオン』は、母犬と仔ライオンの種を越えた親子の愛情物語が多くの人々の心を捉え、その後数々の絵本の出版依頼がくるきっかけの作品となりました。『やさしいライオン』を中心に、やなせの絵本原画を紹介します。

『やさしいライオン』フレーベル館、1975年©やなせたかし(公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
第4章 アンパンマン誕生
ヒーロー誕生のひみつ
1969年、大人のためのメルヘン集のなかでひっそりと産声をあげたアンパンマンは、1973年に幼児向けの絵本として発表されると、大人たちの間では不評だった一方、子どもたちの心をつかみ、大人気となりました。国民的キャラクターとなったアンパンマンはどのように誕生したのか?そのひみつを紹介します。

『あんぱんまん』フレーベル館、1976年©やなせたかし(公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵

『あんぱんまんとばいきんまん』フレーベル館、1979年©やなせたかし(公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵

『アリスのさくらんぼ』「飛べ!アンパンマン」サンリオ、1973 年 © やなせたかし
「世界中でたったひとりぼくだけは熱烈な君のファンだよ。
たとえ誰もよろこばなくても、編集者は反対しても、ぼくは君の物語をかきつづけるよ。」
『アリスのさくらんぼ』「飛べ!アンパンマン」より
第5章 アンパンマンタブロー画
広がるアンパンマンの世界
1996年7月、故郷である高知県香美郡香北町(現香美市)に「やなせたかし記念館アンパンマンミュージアム」が開館しました。やなせは展示室に飾るために、アンパンマンたちのタブロー画の制作をはじめます。アクリル絵具で描かれたやさしいタッチの作品は、1枚1枚がまるでストーリーを想像しながら楽しめる絵本のようです。大きなキャンバスに広がるアンパンマンの世界をお楽しみください。

顔をあげるアンパンマン©やなせたかし(公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
足をすべらせ、暗い谷間に落ちて泣いていたうさぎのピョンきち。目の前に飛んできたのはアンパンマン。「さあ、ぼくの顔をあげる。食べてごらん。元気がでるよ」
『アンパンマンミュージアムアートブック』より

木の下の4人©やなせたかし(公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
木の下にアンパンマン、しょくぱんまん、カレーパンマン、メロンパンナちゃんがあつまった。木の下にいると心がおちつく。雨やどりもできるし、強い太陽の光もさえぎってくれる。
『アンパンマンミュージアムアートブック』より