真夜中のドキュメンタリー

2020年3月7日(土) 25:05放送

息子の終活 ~知的障害者の親として、何を遺すか?~
#09 息子の終活 ~知的障害者の親として、何を遺すか?~

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2015年にNNNドキュメントでOAしたCTVのドキュメンタリー「息子の就活、取材します!」。
重い知的障害のある自閉症の息子が養護学校卒業後に自立する場を探し、親である私が息子と共に奔走しながら、障害者支援の現状を取材しました。

その3年後、名古屋市で、私と息子の将来に衝撃を与える事件が起きました。
息子と同じ養護学校に通っていた25歳の息子が、父親に殺害されたのです。
殺害された男性は息子と同じ重い知的障害を持ち、父親はその将来を悲観して殺害に至ったといいます。

自分たち親の死後、息子はどうやって生きていけばいいのか。
事件をきっかけに、息子が一生を“自立”して生きていくための「“終”活」が必要だったのです。

“その後”を考え始めたのは“ある事件”がきっかけ

2018年1月。50歳の父親が、長男(当時25)の首をしめて殺害する事件が名古屋市内で起こりました。
父親は「息子の将来に不安を覚えた」と供述。殺害された長男は私の息子と同じ自閉症で「強度行動障害」ではなかったかと言われています。

強度行動障害=他害や自傷の行為が高い頻度で現れ、その養育環境では処遇困難な障害。
被害者の長男は、私の息子と同じ養護学校に在籍し面識もありました。卒業後、自宅近くの障害者施設に通所していましたが、他の利用者に暴力を振るうことが多くなり、2年ほど前から自宅で「在宅介護」せざるを得なくなりました。父親は入所先を必至に探しましたが、長男の将来を悲観し事件を起こしたのです。
「私は紙一重」、そして「明日は我が身」ではないかと感じました。

終の住処探しに奔走。画期的な制度を発見、しかし・・・

障害者が“自立”した生活を送り、親の死後も安心して暮らせる場所を探して。私は全国でその場所を探し求めました。入所して生活を送れる「障害者支援施設」や、外で就労をしながら生活を送るための「グループホーム」。
しかしそれらは、受け入れ枠の少なさや、制度としての不十分さから、息子をそこへ送ろうとは思えませんでした。

そして最後にたどり着いたのが、24時間の訪問介護です。2014年重度訪問介護の対象が身体障害だけから知的障害にも拡大。東京に住む重度の知的障害のある男性は、24時間3交代のヘルパーのサポートを得て、自宅で自立した生活を送っていたのです。基本的に男性がやりたいことはすべて受け入れるというサポート方針で、強度行動障害の症状はおさまっていました。

実現したい!24時間訪問介護の導入

24時間の訪問介護は国や自治体から与えられる制度ではありません。国の重度訪問介護という制度を利用して、親やそれを支える事業所が知恵を絞って作ったシステムです。
まずは親が立ち上がらなければ何も始まりません。しかし、障害者手当やヘルパーの数の地域格差など課題は山積。

東京の男性の穏やかな笑顔が忘れられない私。
最近、息子は泊まりがけのショートステイに出かけるようになりました。
実現するために親だけがすべてを抱え込まなければならないのでしょうか?

中京テレビ ドキュメント

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