ドローンが映す万博の特等席

公開日 2025-10-10

アナウンス部・鈴木康一郎

 

こんにちは!今回は、大阪・関西万博をドローンで撮影した数少ないパイロットのひとり、
愛知県春日井市出身の鈴木直斗(すずき・なおと)さんをご紹介します。

鈴木さんの映像は見る人の心をワクワクさせます。
私自身、鈴木さんの万博のドローン映像を見て、心動かされました。

どのようにして万博の空撮を実現させたのか?
ドローンをビジネスにするには?
空撮を始めたきっかけは?

鈴木さんのルーツを取材しました。

 

もともとプラスチックメーカー勤務


鈴木さんがドローンに触れたのは、メーカー勤務の会社員時代です。
品質管理や商品開発などを担当する中、東南アジアの工場に出張に行くことが多かったそうです。

趣味でドローンの機体を持っていた鈴木さんは、現地での仕事を終えた後、
“仕事の記録”という意味も込めて工場を空から撮影しました。

この映像を海外工場の現地スタッフに渡すと、思いのほか喜ばれたそうです。
「人のためになっている」という実感が沸いた。これが、鈴木さんのドローンビジネスの始まりです。

その後、鈴木さんの空撮スキルを会社の上司が知るに至り、
勤務先でドローンを使った新規事業も立ち上げました。
現在は独立して、ドローンカメラマンとして働いています。

 

万博を撮ったカメラマン・FPV(一人称)の世界


大阪・関西万博が開幕したのは2025年4月13日です。
鈴木さんは、開幕前の3月下旬にドローンを飛行させ、2週間で24施設を撮影しました。

大屋根リングの間をすり抜ける映像はまさに圧巻。

ウーマンズパビリオンでは、2022年に閉幕したドバイ万博の日本館で使用されたファサードが再利用されていますが、
そのファサードの間をかいくぐる空撮には度肝を抜かれました。

施設内で扉の開いた瞬間を狙っての撮影、天井を抜け出た先に大屋根リングが見える映像は、まさに職人技です。

👉 ウーマンズパビリオンの空撮映像はこちら

 


 

万博の空撮映像には、FPVというゴーグルを用いた技術が駆使されています。

FPVの特徴は、なめらかでダイナミックな映像が撮影でき、空間をシームレスに移動するため、
その場にいるような没入感が味わえる点です。

そして、鈴木さんの技術を支えているのは、フライトシミュレーターによる約5か月、300時間の練習です。

パソコン上で行う飛行訓練であり、本来モニターを見ながら練習すれば事足りるそうですが、
あまりにストイックな鈴木さんはゴーグルを装着して本番さながらの状態で練習をしていたそうです。

ゴーグル内の映像は揺れがひどく、何度も吐き気を押しこらえながら訓練を積んだそうです。

 

万博空撮までの道のり


「万博会場を撮りたい」と思っても、これは簡単に実現する話ではありません。
鈴木さんの撮影までの道のりは、戦略的だったといえます。

鈴木さんは空撮を始めるにあたって、建築物の撮影に特化して顧客獲得を狙ってきました。
それが株式会社ARCHI CAPTUREという会社です。

建築物を外観・内観問わず撮影することができると、建築家の間で話題となりました。

鈴木さんは、株式会社ARCHI CAPTUREを立ち上げた時点で、
建築家の力の結集である「万博の空撮」を視野に入れていたそうです。

大屋根リングを設計した藤本壮介さんなど様々な有名建築家と出会い、
映像で信頼を得て、結果的に**万博に関係する建築家側から「撮影してほしい」**という依頼を受けることで、
万博の空撮を実現させました。

万博会場は重要施設の周辺ということで、小型無人機等飛行禁止法の規制区域です。

そのため、建築家から正式に撮影依頼を受けた後に、
国に対して飛行申請をして撮影許可を得る必要がありました。

あらゆる撮影シーンを想定し、予備機も含めて30機の機体を登録する必要があったため、
書類は100ページを超えたそうです。

それらの申請も乗り越えて、当日の撮影が実現しています。

 

ドローンを自分で作る!?/ドローンをビジネスにする


鈴木さんはこれまで200機を超える機体を自ら作成してきました。

操縦者のニーズに合わせて機体を作成し、それを販売することも業務としているそうです。

DJI製のAVATA2というFPV撮影ができる民間機も販売されていますが、
鈴木さんは自ら作った機体を使用することが多いそうです。

その理由は、
「脳と指にドローンが追随してくる感じ。自分で作る方が“干渉”が少ない」からです。

意のままに操縦できることが、自作ドローンを使う一番の理由です。

電波は2.4GHz帯ではなく、5.7GHz帯を開局して使用しています。
2.4GHzは携帯電話とも同じ電波帯であるため何等か電波の干渉は生じますが、
5.7GHzは他の使用者が少ないことから電波干渉が少ないそうです。

イメージを実現させるためには、自作ドローンが必要だと鈴木さんは語ります。
 


 

日本のドローン市場は、2030年に約1兆円規模になると試算されています。
しかし、ドローンをお金にするのは正直難しいです。

では、鈴木さんはどのようにしてマネタイズしているのか。
話を聞くと、人と違う視点が重要だと話します。

クライアントに対し、「撮影します、撮影させてください」と映像撮影ばかりを訴えかけるのが一般的な視点。
他方、鈴木さんは「この映像を使って何しましょうか?」と、映像を用いたトータルコーディネートの提案を心掛けているそうです。

例えば、施設を撮らせてほしいという依頼に加えて、
その映像を皆さんに見ていただく機会そのものをイベント化するといった具合です。

施設を撮る、だけじゃない付加価値。
市場拡大が見込まれる中、鈴木さんの発想にはヒントが隠されていると感じました。

 

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